「子宮筋腫で子宮を全摘する」というのは、大きな決断ですよね。
私は2度、子宮全摘を医師から勧められたことがあります。
最初は30代の半ばで、このときは手術を選択しませんでした。
2度目は40代半ばで、ここで子宮の全摘を決意。
どちらも子宮筋腫だけというより、子宮頸がん検診の結果も踏まえて総合的な判断でした。
正直、身体に大きな変化を感じたわけでもないし、経過観察の選択肢もあったので、ものすごく悩みました。
自分なりにどんな選択肢があるかを書き出して、メリット・デメリットをクリアにし、最終決断へ。
ここでは、私が子宮全摘を決めるまでの過程についてご紹介します。
子宮筋腫で手術なんて思っていなかった
子宮筋腫は20代後半からのお付き合い。
最初は2~3cmだったと記憶していますが、10年ほどかけて大きくなり、最終的には約9cmになりました。
- 過多月経
- 貧血
- 便秘
- 排尿障害
筋腫を持っている人なら少なからずある症状で、仕事はできるし趣味のバレエもできている・・
手術なんて頭になく、閉経したら改善するんだろう、ぐらいに思っていたんです。
多い日夜用を2時間起きに変えても服についちゃったり、発表会のために生理日移動のピルを飲んだりと、それなりの不便は感じていましたよ
健康診断で貧血悪化・子宮頸がん再検査へ
子宮筋腫については年に2回、かかりつけ医に診てもらっていました。
超音波などで大きさをチェックし、年一回は子宮頸がんと子宮体がんの検査も実施。
順調にきていたと思っていたんですが・・
会社の健診で、まず貧血が悪化したことが判明。
ヘモグロビンが10から8になっていました。
健診の問診で「速報値を出してあげるから、早々に婦人科を受診してください」と言われて、びっくり!
婦人科の先生に血液検査の結果を見せたら・・
「こうなると子宮筋腫の治療が必要です」
と言われ、経過観察ではすまなくなってきたんです。
子宮頸がん・子宮体がんの検査も再検査へ
貧血の相談と同じタイミングで、子宮頸がんと子宮体がんの検査結果がでていました。
そしたら判定しにくい結果がでたので「もう一度検査してください」と。
もう一度検査したら、子宮体がんは問題なしだけど、子宮頸がんは精密検査(コルポ)となりました。
そして精密検査の結果、軽度異形成だけどHPV16型(ハイリスク)だと判明。
この場合、3~4ヶ月起きに検査が必要となります。
総合的に考えて「子宮の全摘を勧めます」
健診で貧血が出てから約2ヶ月後、子宮頸がんの精密検査とウイルス検査の結果を受け、先生は子宮の全摘を勧めてきました。
- 貧血が悪化
- 子宮頸がん検査で軽度異形成
- HPVは16型
考えてもいなかった突然の手術という選択肢。
動揺していたら、先生は「次の診察までに考えてきてね。希望の病院に紹介状を書いてあげるから」と考える時間をくれました。
子宮全摘はやっぱり悩む
先生から提案を受けたときは、40代も半ば。
30代で言われた「子宮全摘を」に比べたら、ショックは少なかったです。
とはいえ、いろんな不安がドバっとでてきました。
不安① 女性ホルモンはどうなるの?
子宮を取ってしまうと、女性ホルモンがでなくなって更年期障害がすぐ来るのでは?
生理での不調がなくなっても、更年期障害がすぐ起こるのでは、という不安が頭をよぎりました。
先生が察したのか、すぐにフォロー 笑
卵巣は残すから、女性ホルモンは大丈夫だからね
閉経するはずの年齢まであと数年あるということで、卵巣は残すはずだと聞いて一安心。
不安② 女性として
女性の象徴に思える子宮。取ってしまったら、私は女性としてどうなるんだろう
子宮を摘出した友だちはいないし(実はいたのですが)、女性としてどうなんだろう・・と考え込みました。
でも、よく考えてみたら「女性らしい、魅力的な人」というのは、子宮の有無に関係ないなって思えたんです。
子宮の有無が関係するのなら、その逆が成り立つはず。
子宮がある人全員が、女性らしさを失わず魅力的なはずだと・・
失礼ながら、そうも思えないような気がして、これについては早々に心の整理がつきました。
不安③ 手術が怖い
手術なんてしたことない・・ 傷跡はどうなるんだろう・・
もし手術するなら腹腔鏡下がいい、開腹は避けたいなと思いました。
先生に聞いてみたら、たぶん腹腔鏡下になると思うとのこと。
子宮筋腫のサイズや場所によっては、腹腔鏡下ができないこともあようです。
でも、手術の心配は最後まで続きました。
「何らかの原因で開腹になったらどうしよう」
「大量出血とかしないかな」
「後遺症は?」
などなど。
手術を決めたあとは、もう検索しまくりでした。
私にある4つの選択肢
ある日、スターバックスで、自分にある選択肢とそのメリット・デメリットを書き出してみようと思い立ちました。
癌なら手術をしない選択肢はありませんが、子宮筋腫は良性の腫瘍。
いろんな選択肢が考えられただけに、悩みがつきませんでした。
選択肢で考慮したのは次の2つ
- 子宮筋腫の治療
- 子宮頸がんの予防
これを踏まえて4つの選択肢を自分なりに考えてみたんです。
経過観察 | 経過観察 | 筋腫だけ切除 | 子宮全摘 | |
---|---|---|---|---|
貧血 | × | × | ◯ | ◎ |
その他症状 | × | × | ◯ | ◎ |
がんのリスク | × | × | × | ◎ |
傷跡 | なし | なし | 気にならない | あり |
仕事への影響 | 続く | 続く | 2週間ほど | 2週間ほど |
検診 | 3ヶ月毎 | 3ヶ月 | 1年 | 1年 |
経過観察する
手術はせずに、子宮筋腫は半年ごとに経過観察し、子宮頸がん検査を3ヶ月毎にする、という選択肢。貧血は薬でなんとか・・
メリット
- 手術をしないので、傷ができない
- 仕事や趣味もこれまで通り
デメリット
- 貧血や排尿障害、体の怠さなどを数年続ける覚悟
- 子宮頸がん検査に行く時間とお金
- 子宮頸がんになるリスク
検査をして、2週間後に結果。精密検査だと、その結果も2週間後・・ほぼ毎月いくことになるだろう、それを何年か続ける覚悟が必要でした
子宮円錐切除を相談する
正直なところ、子宮頸がんのほうが怖かったです。
若い人が亡くなることも多く、近所の婦人科でも「妊娠中に見つかって、出産後に治療したけど手遅れだった人もいる」という話も聞いていました。
子宮頸がんの初期段階であれば、子宮円錐切除で治療できないかなぁとも考えたんです。
実際に、妊娠を希望する人はこちらが多いと思います。(もちろん癌化していたら、できないと思いますが・・)
メリット
- 子宮頸がんの心配がかなり減る
- 2泊3日ぐらいの入院ですみそう
- 傷跡も残らないし、回復も早そう
デメリット
- 子宮頸がんのリスクは消えない、再発はある
- 子宮筋腫の症状はなくならない
- 病理検査次第では、結果的に手術になる可能性も
結局これは相談しなかったので、希望する人は可能かを確認してくださいね
子宮筋腫だけ取る
子宮筋腫だけ取る選択肢も考えてみました。
ただ、全摘より難しい手術になるのと、子宮筋腫の種類や場所によっては、手術できないという話も聞きました。
メリット
- 子宮筋腫の症状がなくなる
- 子宮が残るので、気持ち的に安心
デメリット
- 難しい手術なので、腹腔鏡下ができないことも
- 大量出血のリスク
- 子宮頸がんリスクはのこる
- 子宮筋腫の再発もあり得る
子宮全摘
子宮全摘のメリット・デメリットを考えて、他の選択肢と比較した場合、なぜ先生が勧めてきたのかが、すごく腑に落ちました。
メリット
- 子宮筋腫の症状が消えるし、再発の心配もない
- 子宮頸がんと子宮体がんのリスクが生涯消える
- 腹腔鏡下でできる可能性が高い(私の場合)
- 子宮頸がん検査に3ヶ月毎に通わなくて済む
デメリット
- 女性ホルモンへ対象の影響があるかも
- 開腹になると大きめの傷が残る
- 2週間ほど仕事を休む必要がある(入院1週間、療養1週間)
- 子宮が無くなるという気持ち的な問題
選択肢を眺めながら考えた結果、子宮全摘を決意しました。
私にとって一番怖いと思ったのが、子宮頸がんの進行だったのです。
子宮の全摘を後押ししたこと
子宮全摘を決めたのには、あと押しとなることがありました。
絶妙な年齢
子宮全摘の決定は、年齢的なことが大きかったです。
30代の頃は「子宮が無くなるなんて!」と、もうショックが激しくて、診察後に吐き気がしたほどでした。
結婚前でしたし、「妊娠の可能性がない人」になるのが怖かった。
40代半ばになると、その気持は殆ど出てきませんでしたね。
もうひとつは、体力です。
今なら体力があるし、入院しても早めに復帰できるはずだと。
子宮頸がんになったときのリスクが大きすぎる
HPV16型の場合、進行する可能性が高くスピードも速いと聞いていました。
30代の頃の検査でもHPV16型だったので、きっと自分の免疫で消すことができなかったんです。
じゃあ、子宮頸がんになって手術したらいいのでは?
と思って、子宮頸がんについても調べてみました。
調べてみて震え上がりましたよ・・
子宮筋腫と子宮頸がん、同じ子宮全摘でも全然違うものっぽいぞと。
- 卵巣も取る
- リンパも切除
- 進行によっては抗がん剤併用
- 基本は開腹
- 後遺症がよくある
後日談になりますが、4ヶ月後に検査をしたら、中等度異形成との判定でした。
4ヶ月前は軽度で、今回は中等度異形成。
このまま進行するとは限りませんでしたが、不安をもつのには十分すぎる結果でした。
快適に過ごせる日が一気に増える
子宮筋腫による出血過多は、日常生活に大きく影響していました。
- 生理2日、3日目は、多い日夜用を昼でも2時間しかもたない
- 外出もしにくいし、仕事をキャンセルしたこともある
- 趣味のバレエもできない
- 体調が基本良くない
- 服を汚すことも少なくない
「月の半分は体調がイマイチってなんだかなぁ」と遠い目になることもしばしば。
貧血が無くなった体感は、手術前に経験できました。
「【子宮全摘】腹腔鏡下の可能性を高めるために「レルミナ」服用」でご紹介しています。
生理日移動でピルが飲めなくなる
旅行やバレエの発表会で生理に当たるのが、本当にヤバかったので、生理日移動のピルを飲んでいました。
ただ、40代過ぎるとピルは良くないみたいで・・
血栓症のリスクが高くなるから、もうピルは飲んじゃダメだよと、先生から言われたことがあります。
40代はホルモンバランスに変化がでてきますから、生理日も読めなくなります。
そうなると、いろいろ大変だろうなぁとは思っていました。
子宮全摘を決めたときの家族・友だちの反応
最後に、子宮全摘を決めたときの家族や友だちの反応をシェアしますね。
家族
大賛成でしたね。
子宮頸がんの心配をみんながしていて、「手術日はもっと早くできないの!?」と言われたぐらいです 笑
状況的に子宮頸がんを物凄く心配する段階ではないのですが、家族としては健康が一番だったよう(当たり前か)
友だち
友だちの反応は、ばらつきがあって興味深かったです。
「いいと思う!」という人もいれば、「え、癌になってからでいいじゃん」と眉を潜める友人も。
なぜ子宮全摘を決めたのかを話して、納得する人もいれば、「うーん」という反応もありました。
どちらにしろ、決定は自分で下さないといけないし、人は私の人生に責任を持ちません。
心から応援してくれて、健康にいいからと食べ物や本をくれた友人たちには、本当に感謝が溢れました。
私は友人に恵まれていると、実感させてくれる経験となったんです。
人に話すかどうかは、慎重に決めてくださいね。心が揺らぐことを言われることもありますので。言われても、その方が同様の経験をしていないなら、そっと流しちゃいましょう。
会社の人
仕事を休むことになるので、会社のメンバーにも伝えました。
部長は体調を気遣ってくれて、復帰は在宅で無理しないでいいと言ってくれましたし、メンバーは引き継ぎを快く引き受けてくれました。
会社の人は深く聞いてくることはなく、「絶対戻ってきてね!」など温かい言葉をかけてくれて・・
本当に感謝感謝でした。
まとめ
子宮筋腫を理由にした子宮全摘を決意するのは、本当に大変だと思います。
今回のことで、知らないだけで同じ理由で全摘した人が何人かいました。
きっと、いっぱい考えて、その人なりに出した答えなんだと思います。
正直なところ、どれが正解かなんて無いなと思います。
私も決定するまでに、多くの人のブログを拝読させてもらい、決意に至りました。
恩を返したい思いもあり、決断までの経緯をご紹介しています。
あなたの健康を本心から祈っています。
健やかな身体になりますように